インボルク(Imbolc)は、春の訪れを祝うケルト民族の祭りである。(スコットランド・ゲール語 Là Fhèill Brìghde, アイルランド語 Lá Fhéile Bríde, いずれもブリギッドの日の意味)2月1日または2月2日に祝うのが一般的である。南半球では8月1日に行われ、いずれも冬至と春分とのほぼ中間点にあたる。

概要 元々は、中世に、ノルマン人がアイルランドを侵略する前の、ゲール人支配下のアイルランドでの祝祭であった。アイルランド神話や、アルスター伝説のサガ“Tochmarc Emire”に、この祭りに関しての記述がみられる。インボルクは、アイルランド神話のクロス・クォーター・デイズのひとつで、他のクロス・クォーター・デイズはそれぞれ「ベルテン」(Beltane)「ルグナサート」(Lughnasadh)「サムハイン」(サイーン、ハロウィーン Samhain)となる。
元々は、ケルト神話の女神ブリギッド(またはブリジッド、輝くものという意味)の聖日である。ローマ神話のミネルヴァにもなぞらえられる[7]。この女神は太陽の光に加え、健康(医療)と鍛冶をつかさどり、芸術や収穫と家畜、自然にも関わっている。とりわけ、ヒツジが子を産む季節や乳に大きな役割を担っており、子ヒツジが生まれるとインボルクが近いと言われた。また、グラストンベリー山の塔の南西側のドアには、ブリギッドの乳しぼりの姿が見られるという。このグラストンベリーは、ケルトの伝説、とりわけアーサー王ゆかりの地として有名である。
また、アイルランド語でインボルクとは、古アイルランド語の「イ・ムボルク」(腹の中)に由来し、ヒツジの妊娠のことを指している。中世の用語では、この単語の由来を「オイメリック」(ヒツジの乳)としている。
インボルクのすぐ後にキャンドルマスが来るため、インボルクという単語が、時に、英語のキャンドルマスの訳語と思われ、同一視されることもある[12]。そもそも、キリスト教が入って来て以来、インボルクを聖燭節と重ねるようになったともいわれている。
20世紀には、インボルクは、ネオペイガニズムの祭としてよみがえった。特にウィッカ、ネオドルイド教、そしてケルト復興主義者の間で祝われている。